まっちゃんの桜の木陰日記

自然豊かな富山を舞台にランニング、サイクリング、そしてカイロプラクティックを施すミドルエイジアスリートの日記

下山時間を大幅にオーバー。こんな危険はやめましょう。

さて、念願の猫又山登頂を果たせましたが、無事下山するという大事なミッションがまだ残ってます。山岳事故の大半は下りで発生してるとのことなので、慎重に降りなければなりません。

 

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登頂という念願果たしたし、さあ後は気をつけて降ろう!と進んだ矢先、なんと山頂直下の見晴らしのいい草原で野生の熊を目撃しました。餌でも探しているのか、のそのそと草原内を歩き回っています。私との距離は約100mほどでしょうか。こちらが降りて行く先にいて、まだ熊はこちらには気づいていないようです。

「マジか!ヤバくない?」と緊張が走ります。が、思いのほか慌てることなく、腰からホイッスルを取り出し、思いっきり音を鳴らすと、どうやら熊にも聞こえたようです。辺りを見渡し、すごすごと谷の藪へと消えて行きました。ホイッスルの音は当然私の少し後を歩いていた相方にも聞こえ、すぐさま「何?いたの?」と聞いてきます。「うん、居た」と答えると、「写真撮った?」との返事。てっきり怖がるかと思っていたのに、そんなやりとりだったので、どうやらピークを踏んだ達成感でハイテンションになり、恐怖よりも好奇心が勝ってたようです。「私も見たかった」と言うので、少し呆れてしまいましたが、怖がって進めなくなるよりも全然マシでしたね。あと、念のため熊撃退スプレーも持ってたので、多少は安心感もありました。

 

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山頂直下の残雪を降りてくる相方。暑さで溶け出す雪の煙に光が当たり、なんとも神々しいショットになりました。救世主現る⁈的な雰囲気です。

 

この辺りでこの日唯一の登山者に出会います。ソロ登山の方でしたが、あちらも「自分も今日始めて人に会いました」と話され、聞けば猫又山か釜谷山でテント泊するとのこと。人との触れ合いに勇気をもらい、いくつか会話を交わし、お互いの無事を約束しました。

 

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猫又山からブナクラ峠に降りてくる道は、先程の大猫山経由ほどではありませんが、それでもやはり至る所に藪が出現します。斜度も急で、細い稜線を降りますのでスピードは思うように上がらず…。なんとか明るいうちに峠までは降りてこれましたが、そろそろ陽が暮れようとしてます。陽のあるうちにもう少し先に進めればと思っていたのですが、彼女のペースが上がらず、予想外に夜間のパートが長くなる覚悟をしなければならなくなりました。

 

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ブナクラ峠のお地蔵様に、無事に下山できますようにとお祈りします。

 

本来ならばもう下山してる時刻を過ぎています。まずいなと焦りを感じつつも、ライトもあるしなんとかなるだろうと開き直ってもいました。ここから先は斜度も緩み、踏み跡が付いているので道を間違うリスクも減ります。食料も充分持ってるし、寒さも感じません。天気も持ってくれそうなのも救いでした。私が心配だったのは、暗闇の中での3回ほどある徒渉と、途中で怪我をして歩けなくなること、そして野生動物との遭遇でした。

 

このブナクラ峠から馬場島への、暗闇の中下山したことは、今思い出しても危険極まりない行為だったと思います。この時点で既に12時間以上の行動をしていたため疲労もピーク。そしてライトに無数の虫が集り、集中力を奪います。また、歩いているすぐ側をブナクラ谷の水が激しい音を立てて流れます。暗闇の中、激しく流れる水の音はかなりの恐怖を感じました。そして、そんな川をライトの明かりだけを頼りに徒渉しなければならないのです。普段のコースタイムの倍以上の時間をかけて、慎重に慎重に降りてきました。

 

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もはや速さは諦め、安全を第一に下山です。あと予備バッテリーは持ってなかったので、ヘッドライトのバッテリーが切れたら、間違いなくアウトでした。今思い出しても怖すぎる体験です。

 

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泣き言を言う(←当然です)彼女をなんとか励ましたり勇気づけて、ようやく馬場島まで戻ってきました。手前の林道まで戻ってこれた時は本当に安堵したし、2人で困難を乗り越えた充実感にあふれてました。ふと見上げると、無数の星が瞬いてます。下山中は見る余裕もなかったんですが、長い長い1日を歩き通したご褒美をもらえた気がしました。

 

ただ、今回は無事下山できましたが、陽の明るいうちに行動を終えるのは登山の鉄則です。しっかりと行動計画を立て、時には勇気ある撤退も必要です。今回私たちは猫又山のピークに拘り、時間を大幅にオーバーしましたが、本当に怖い思いもしたし、家族にも迷惑をかけました。本当に無事でよかったなと思います。

 

山に登られる皆さん、優先順位を間違えないようにしましょうね。命より大事なものはありません。私もこんな思いはもう二度としたくない!