まっちゃんの桜の木陰日記

自然豊かな富山を舞台にランニング、サイクリング、そしてカイロプラクティックを施すミドルエイジアスリートの日記

奥三河パワートレイルを振り返る②

①の続き…

タコウズ川沿いの林道を下りきると、車通りの多いロードに入る。追い越し禁止の表示がある橋を渡り再び登りに。この辺りで第3エイドの小松エイド(37㎞地点。関門あり)まであと3㎞の横断幕が見えた。日差しも出て、緑が映えて気持ちいい。だが、「ここまで順調だなー」って思ってた矢先胃腸に不安を感じ始め、ロードの緩やかな登りで足が止まる。無理すれば走れなくはないが、吐き気がしてきて具合は良くない。後ろから来るランナーに次々に抜かれる事がさらに自分のテンションを下げたが、ここは割り切って小松エイドまで歩くことにした。ここまで思い通りに来たので、これくらいの事はあるだろうと、この時点ではまだ深刻にも考えてなかった。

小松エイドには4時間19分で到着。直前3㎞ほどを歩いてしまったが、まだまだタイム的には余裕がある。それにしてもここはエイドの盛り上がりはホントに賑やかだった。自分は胃腸のリカバリーを最優先にしたため、すぐに胃腸薬を服用して、食べれそうなエイド食をつまみ、10分ほどテントの下で腰掛ける。横断幕にメッセージを書くよう勧められたがすいません、その元気はこの時無かったです。

長居してしまいそうな居心地の良さがあったが、スタッフの方の「あまり休みすぎると、次行けなくなりますよ」と声をかけられ、立ち上がる。わずか10分程度であったが、休憩と胃腸薬の効果はてきめんで、気持ち悪さは解消されていた。さあ、こっからが奥三河の真髄だ!

小松エイドから四谷千枚田エイドまでの10㎞に満たない区間。レース前半の下り基調から一変、ここからがいよいよ本格的な山岳トレイルに突入することになる。この区間、昨年はトップ選手でも2時間近くを要したという。多くのランナーをタイムオーバーの追い込んだ難所中の難所だ。幸い小松エイドで回復できたことで、エイドを出てしばらくは順調に進む。十三曲がりと呼ばれる岩古谷山へのスイッチバックも止まることなく登り、山頂手前の稜線に出ると険しい山肌が姿をあらわすが、ここもクリア。高所恐怖症の人にとっては避けたくなる登山道だったが、自分は集中できていたようで怖さはさほど感じなかった。

だが、岩古谷山のピークを越えた辺りから次第に体が重くなり始める。小松エイドを出て1時間弱だったが回復の効果が切れてきたようだ。実は今にして思えばだが、小松エイドではカロリー摂取できるような補給は胃腸の不調もありほとんどしてなかった。冷静に考えればハンガーノックに近い症状を起こしたことが判断できただろうが、体が言うことを聞かなくなってきたことに焦りを感じ始め、すぐにエネルギージェルを補給することが思い浮かばなかったのだ。当然ペースがガタ落ちし、後続のランナーにどんどんと交わされていく…。そして歩き続ける事がキツイくらいに追い込まれていった。

「こんなところで止まっていては、後ろの人に迷惑だな。それに休まないともう進めない!」と思い、多少広い場所に出るとコース脇にそれ、そこでしばらく腰掛けることにした。そうしてる間にも後続のランナー達が自分の横を通過していく。「大丈夫ですか?」や「キツイですもんね」と声をかけてくれる方もたくさんいて、少し励まされる。そうしてる間も自分の頭の中では「前半が速すぎたかな?」や「やっぱり寝不足が原因だろうか?」など、失速の原因を探そうとしていた。時間にして5〜10分は座っていただろうか。他に手段もないので、腰にしてたフリップベルトからベスパハイパーを取り出し飲んでみる。そしてゆっくりと歩き出した。

失速の原因がハンガーノックだと気づくのに、そう時間は掛からなかった。なぜならベスパハイパーを飲むと、じきに体に力が湧いてきたからだ。「なんだ、エネルギー不足か!そういえばさっきからジェルの補給サボってたわ」と気づいた頃は、岩古谷山まで並走してたランナーには置いていかれ、後続のランナー達50人以上には抜かれた後だった。ただ1度ガス欠になると、ジェルを普段通り摂っていても追いつかず、さらに頻度を増して摂取していかなければならない感覚があった。これは今後の経験につながるだろう。「空っぽになる前に摂る」を心掛けていこう。

だがエネルギーを補充したからといって、簡単にクリアできるほどこの区間は甘くはなかった。岩古谷山から鞍掛山にかけてのトレイルはアップダウンを繰り返す厳しいセクション。前日の石川さんの説明では「7回くらい繰り返す」と言っていたが、すでに数えられなくなっていた。そしてこの区間で、このレース最大の試練が私に訪れる。

③に続く