まっちゃんの桜の木陰日記

自然豊かな富山を舞台にランニング、サイクリング、そしてカイロプラクティックを施すミドルエイジアスリートの日記

「山岳王」の正体を見たら、その凄まじさに驚いた。

秋の夜長にぴったりの書籍を紹介です。

今回読んだのは、究極の山岳レーストランスジャパンアルプスレース(TJAR)を4連覇したレジェンド、望月将悟さんを紹介した「山岳王」です。ちなみに望月さん本人の自著ではなく、別の方が書いておられます。望月さんは消防士、つまり公務員ですからね。副業はマズイのかな…?

 

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山と渓谷社から出てます。自分の興味あるジャンルなのでスラスラ読めました。学校の教科書や、仕事の関連書物もこれくらいスラスラ読めたらいいのに…。

 

とにかく望月さんの幼少の頃からや、過去のトランスジャパンでの驚くべきエピソードが満載です。こんなにもタフでアクティブ、そして人間的魅力の詰まったキャラクターなんですね。こりゃ本になるわけだ。読み進めても、あまりにスケールが大きすぎて、参考にというよりは憧れしかありません。真似をするというレベルではないですね…。

 

それでも常に謙虚で、周りから何かを学び取ろうとする姿勢は見習いたいですね。「強くなりたい!」と願い続け、向上心を持ち続けた事で、出会いに恵まれたとありました。1人で強くなったんじゃなく、周りに育ててもらったんだと!

 

実はこの本を含め、今読みたい本があと2冊あります。全部トレランや山関係ですが…。

次に読みたいのがアメリカトレラン界のレジェンド、スコット・ジュレクの「NORTH 北へ」です。46日間をかけてアパラチアントレイルを走った極限のドラマが書かれてる感動作だとか。

 

そしてもう一冊が、16人のトップ山岳ランナーが寄稿した「極限力」です。山健先生や上田瑠偉くん、奥宮俊祐さんや石川弘樹さんの記事もあります。望月さん、こちらにも登場してますね。 

 

おそらく2冊とも、近々買っちゃいそうです。秋の夜長はこれらの本でモチベーションを上げていきますよー!

ロングなのにショートに感じた道宗道トレイル(後編)

前編の続き…

 

実は今回のコース短縮のため、縄ヶ池から高清水山への登りがこのコースでは実質ラストの登りになります。これ以降は小さな登りはありますが、ほぼほぼフラットか下りなんですよね。登りで順位を上げたい私にとってはここが踏ん張りどころです。

 

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まだスタートしてから1時間ちょっとなので、楽々!とはいきませんがさほど苦労することなく高清水山に到着です。ここがこのコースの最高地点になので、あとは稜線上を下って行くことになりますね。

この辺りから、しばらく私を含め3人のランナーと並走する感じでした。ペースは遅過ぎないし、かと言って無理を強いられる速さでもないのでとても気持ちよく走れます。次第に前を行くランナーをパスして、順位も少しづつ上げていきました。

 

並走する3人の中では私が真ん中を走っていたんですが、私がほどけた靴紐を結び直した時に後方のランナーが前へ出て、そのまま先頭へ。余力があるのか、さらにペースを上げて私たちを引き離していきます。次に、私の前を走っていたランナーは少し疲れたのか、直後に訪れた登りでペースダウンです。すかさず私が前に出て、先程のランナーを追いますが、うーん速い!特に下りになるとますます離される感じです。隊列が崩れ、ここからは単独走になりました。並走していても各々の走力はやはり別々なので、余裕ある人もいれば、キツい人もいるって事ですね。並走はペース配分の助けにもなれば、弊害にもなり得るって事でしょう。私は今回は役立ったかな。

 

大寺山を超え、覗戸エイドに到着しますが、まだ余力を感じた私はチーズだけを口にして早々に出発です。前後のランナーとの間隔が開き、そう簡単には前のランナーを追い抜く事が出来そうに無いんですが、まだ順位を決めつけるには早過ぎます。実際、ここからも数人はパス!残り2㎞あたりで1人にだけパスされましたが…。

 

結局雨はずーっと降り続けてましたが、トレイルは全般的にまだそんなに荒れてはいませんでした。が、それは私が通過した時点でのこと。先を行くランナーに踏まれ、雨も降り続けたトレイルは、あとから通過するランナーには試練になったんじゃないでしょうか?私も2回くらい転び、しっかり泥だらけになりましたよ。

 

ラストは井波の街中を抜け、瑞泉寺の山門がゴールになります。もやは前後のランナーは全く見えません。沿道からの声援を一身に受け、気持ちよくフィニッシュ!ゴール地点の人がまだまばらなことが、「結構上位なのかな?」と期待させました。気になる順位は…

 

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おぉ、17位!年代別も6位です。20位以内が目標だったのでこの結果には大満足!

年代別は3位までが表彰なので「あと3人かぁ…」とは思いましたが、後日リザルト見ると40代の3位の方は私より約6分前でした。大体1㎞先を走られていたイメージでしょうか。うーん、なかなか詰まらない差だと思います…。でも表彰台を意識したのは今回が初めて。表彰台が見えるところまで自分がやってきた!と感じられたのは間違いないです。

 

この大会、来年はエキスパート部門なるものの新設を検討してるとのこと。従来のロングコースを完走したあと、さらにショートコースを巡るんだとか。過去のロングコースで6時間以内か、今回のコースの4時間以内で参加資格を得られるとのことです。一応参加資格は得てますが、参加はどうしようかな?

 

ロングコースと言えども距離短縮もあり、ほぼ走り通した道宗道でした。翌日、翌々日まではかなりの筋肉痛も発症。普段のロード練習や登山ではほぼ筋肉痛とは無縁なので、やはり結構頑張ったってことでしょうか。まだまだ鍛える余地もあるってことですね。

 

これで年内のトレイルレースは終了です。参加する大会自体も、今月末の富山マラソンがラストです。

ロングなのにショートに感じた道宗道トレイル(前編)

 

2年連続のトリプルマスター獲得を目指し、今年最後のトレイルレース、道宗道トレイルランを走ってきました。トリプルマスターとは富山で開催される3つのトレイルランニングレース、TOGA天空、立山山麓、そしてこの道宗道のすべてのロングコースを完走したランナーに贈られる称号です。昨年は記念の盾まで頂けました。2年連続の獲得を目指し、今年もこのレースに参戦です。

 

しかし前々日の金曜日の夜、接近する台風25号の影響でロングコースが距離短縮されるとメールがありました。ゴールの瑞泉寺は変わりませんが、スタートが上平の行徳寺ではなく、たいらスキー場に変更とのこと。序盤の難所、小倉山あたりで倒木のリスクが高いんだとか。かなり残念ではありましたが、こればっかりは仕方ないですね。それにしても今年、日本に台風来すぎじゃないですか?全国的にもたくさんの大会が中止に追い込まれてます。

 

これによってロングコース37㎞が24㎞に短縮されました。100マイルを経験してしまうと、もはやこのくらいの距離をロングと感じません。24㎞の間にエイドが2箇所もあるなんて、恵まれ過ぎの感じまでします。私の感覚がずれてるんですがね…

そして、短縮されたコースでもトリプルマスターの資格は無くならないそうです。こうなったら思いっきり序盤から突っ込んで上位進出を目指すことにしました。これくらいの距離ならば、補給を含めてレースプランが多少雑でもなんとかなりそうかなと思えました。

 

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風は強くとも、雨は上がると思っていただけにスタート会場の雨は想定外でした。しかし私が心配してた暑さは感じません。雨も明け方から降り出したらしいので、トレイルもまだそんなに荒れてないんじゃないかと予想しました。

受付付近では私のブログを読んでくれているというMさんに声を掛けられお話しました。ありがとうございます。おかげでリラックスできましたし、励みになります。

 

来年から創設予定のエキスパート部門を試走する2名を見送った後の朝8時、いよいよスタートです。序盤の渋滞を避ける意味でも前方に位置して、スタートから飛ばすプランで挑みました。作戦は成功!短いロード区間を過ぎ、高落場山への登りには約20〜30番手で入ります。周りのランナーも速く、登り始めでもガンガン進んでいきますが、私も負けじと前方のランナーに食らいつきます。こんなペースじゃバテるのも早いな…と分かってはいましたが、高落場山まで登ってしまえばしばらくはフラットで走りやすいトレイルが続きます。なのでここではペースを落とすことなく、むしろハイペースで登り続けました。次第に後方のランナーが離れていきます。そう、ここは誰しもがキツいはずです。

 

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高落場山のピークには45分で到着です。ハイペースの割には意外に余力が残ってました。なので、ここからのフラット→降り区間は息を落ち着かせるつもりでしたが、ここの区間のトレイルが気持ち良過ぎてドンドン飛ばして行きました。なのであっという間に縄ヶ池エイドに到着です。ここでスタートからちょうど1時間でした。

 

エイドでは常備してたマグオンを補給。他にもおもてなしの補給食が並んでましたが、ここはタイムロスを避けるためにも泣く泣く先を行きます。実際、スタートからわずか1時間ではあまり補給は必要なさそうです。このあたりで20位くらいかな?まだまだ体も動くので、1つでも順位を上げる心意気で張り切って次なるピーク、高清水山へ向かいました。

 

後編へ続きます。

信越五岳100マイルの装備、補給を振り返る。

無事人生初の100マイルを終えました。ここで今回使用した装備品や補給食などを振り返りたいと思います。自らの反省とともに、もし100マイルを目指される方への参考になればと思います。

 

ヘッドライト・・・ペツルの「アクティックコア」を使用。光量に不満はなかったがバッテリーの持ちがイマイチで、標準装備されてた充電式バッテリーは約7時間しか持たない。予備で乾電池を持って行ったが、こちらは3〜4時間で暗くなる。2晩のうちに3回は電池交換はした。予備電池を多めに持って行ってよかった。

 

バフ・・・ご存知チューブ型のバンダナ。自分は色柄違いで3枚ほど持ってるが、今回も大活躍。夜間は頭に巻いてヘッドバンド、昼間は首に巻いてサンシールドの役目を担ってくれた。

 

ウェア・・・パタゴニアのキャプリーンライトウエイトシャツにミレーのドライナミックメッシュを合わせる。練習から何度も試したので安定感は抜群。ただ、今回は胃腸トラブルにも見舞われたので、冷えを防止するため腹巻きも試してみようかな。

 

アームカバー・・・マウンテンハードウェアのやつ。こちらも普段のレースから使用。トレランや山では絶対したほうがいいと思う。

 

ソックス・・・インジンジの5本指トレイルモデル。防水ではないが水の染み込みも少なく乾きも早かった。ずっと使ってたタビオよりもクッションもあり厚さもちょうど。

 

シューズ・・・アルトラのティンプトレイル。やはり自分の足にはアルトラがよく合う。抜群に走りやすく、足元のトラブルも今回は全く無かった。ソックスとの相性も良かったと思う。信越はアルトラやイノヴェイトといったナチュラル系の装着率が高かったかな…

 

ザック・・・グレゴリーのルーファス12。背負い心地、容量共に不満なし!というか、大満足で最高のパートナーになってくれた。

 

補給食・・・くるみ餅は失敗。トレランしながらの激しい運動中だと食べづらく、消化にも時間がかかる感じ。美味しいんだけど、これは登山時に限定かな。同様の理由でトレイルミックスもトレランには不向き。レースだとやっぱりジェルが効率的で、食欲不振でもなんとか流し込める。たとえ後で気持ち悪くなって嘔吐しても、その頃にはすでに吸収されて体の外に出ないはず。確実にエネルギーになってくれます。私もジェルばっかりの補給に嫌気がさし、固形物で食べやすい物を探したけど、結局はジェルが一番戦力になる気がする。レースでは割り切ってジェルオンリーにして、美味しいものはのんびり登山の時に食べればいいと思う。

 

ウルトラやロングトレイルは間違いなく経験がモノをいいます。常日頃からレースに出場したり、練習の段階から本番を意識するなどして、自分には何が合うかを常に探り続けることが不可欠です。ネットの評判だけで新商品を入手して、レースでいきなり投入!なんてことはやめましょう。今の時代、雑誌やネットで色んな商品説明や情報が得られますが、それらを鵜呑みにするのではなく、自分の体の内なる声に耳を傾けることが大事かなと思います。大会によっては必携装備などはありますが、どんなスタイルで挑むかは個人の自由です。周りと一緒じゃつまんないですよね。自分なりの心地良さと格好良さを兼ね備えたスタイルを磨き上げていきたいです。

憧れ続けた100マイラーの夢を叶えた信越五岳2018⑦(ゴール後)

ゴール後は完走の余韻に浸りながらも豚汁やおにぎりといった補給食を頬張ります。とにかくお腹が空いてました。一通り食べた後は今夜泊まるホテルへ向かいます。ゴール会場の雰囲気はとても居心地が良かったので、しばらく留まっていたかったんですが、この時点で既に夜中の3時を過ぎています。早くホテルに行って風呂に入って横になりたかったし、せっかく宿代払ってるんだから寝る時間を少しでも長く確保したい気持ちでした。最終ランナーを見届けることなく、この日の宿泊先のホテル行きのバスに乗り込みました。

 

しかしこのバスがなかなかの曲者…。乗員は20名ほどでしたが、黒姫エリアや池の平、杉野原や新赤倉、赤倉と順番に回るシステムで、私が泊まる赤倉ホテルはなんとラストです。結局ゴール地点の飯綱高原から1時間以上かかって宿に到着しました。しかも運転手さんは早く到着させてくれようとして、かなり攻めの走り…。これでかなり揺さぶられ、これ以上長く乗ってたら車酔いしてた気がします。でもなんとか酔う前に到着できました。

 

ホテルの玄関が閉まってるトラブルに見舞われながらも、電話連絡にて無事チェックイン。すぐさま温泉に浸かり、ベッドで横になったのは朝の6時でした。と言っても、2時間寝ただけですぐに朝食→チェックアウト→表彰式に参加と、のんびりはしてられなかったんですが…。それでも不思議なもので、脳のスイッチがまだ切れてないせいか、眠気や疲労をあまり感じません。間違いなく疲れてるし、睡眠時間なんて全く足りてないんですが、人間の体って凄いですね。というか脳って恐ろしい…。

 

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表彰式にて、100マイル完走者一人一人に石川さんから直々にバックルが手渡されました。これが欲しくてはるばる100マイルを走り切ったと言っても過言ではありません。「110㎞も凄いんですが、やっぱり100マイルは特別なんです」と話された石川さんの言葉が蘇ります。これはもう私の末代までの宝物ですね。

 

その後表彰式を終え、斑尾高原までバスで戻り車を回収して帰途につきました。帰りのサービスエリアでラーメンを食べたあたりから眠気がやってきて、高速運転は中々大変でしたがそれでも無事帰宅できました。そろそろアドレナリンも切れてきたようですね。

 

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あともう一つ、オフィシャルのフィニッシャーバックルとは別に、彼女から手作りの特製メダルをプレゼントしてもらいました。公式ロゴをあしらった世界にひとつだけのメダルです。クオリティ高いぞ!

 

100マイルを走り切った後の達成感、充実感はこのあと数日続きました。この歳になってここまでの感動を経験できるって本当に幸せです。今後また100マイルを走るかは分かりませんが、今回の完走は間違いなく私の人生において忘れ得ぬ経験になりました。

憧れ続けた100マイラーの夢を叶えた信越五岳2018⑥(戸隠〜ゴール)

2日目の夜も11時を過ぎ、当初の目標にしてた日曜のうちにゴールすることはもはや不可能です。この頃には月曜の朝3時半までの時間内完走に目標は切り替わってました。この先は信越五岳のラスボス、瑪瑙山が立ちはだかりますが、ここを乗り越えれば夢にまで見た100マイルの完走がハッキリと視界に入ります。戸隠エイド直後の林道は泥濘みだらけでうんざりもしましたが、ラストが見えてくるとなんとか頑張れました。

 

幸い、眠気はやってこなかったんですが、この辺りからついに私にも幻覚が見えるようになってきました。トレイル傍の草木が獣やトカゲに見えたり、道の真ん中の葉っぱがタコに見えたりします。一瞬驚いてドキッとしますが、よーく見たら幻覚だったことに気付く事の繰り返しでした。脳が疲れてしまい、目からの情報を誤って処理してるんでしょうね。夜間に寝不足だと幻覚が見えるようになると聞いてはいました。自分にも見えたら正直怖いなーと思っていたんですが、いざ体験してみると恐怖は感じませんでした。それどころか「次は何に見えるかな!」と、楽しむも余裕あったかな。

 

瑪瑙山の稜線に出るとなかなかの強風が吹いていて、このコース屈指の登りに差し掛かったこともありなかなか前に進みません。それでもやはり我慢強く登っていればピークには達します。真夜中ではありましたが、なんとか瑪瑙山の山頂に到着すると、ちょうど雲が切れて光り輝く星空が見えました。空を見上げ、「すげぇ…」と思わず息を飲みましたが、吐く息は真っ白…。風も強く、かなり気温が低下していました。停滞するとあっという間に体が冷えてしまうので、すぐさま下山開始です。でも、そんな環境下でも山頂にボランティアスタッフの方々がスタンバイしてたのには頭が下がりました。

 

瑪瑙山をクリアした事で、あとはほとんど下りパートになります。ちょっとした登りはありましたが、あとはひたすらの下り…。衝撃吸収しきれなくなった足にはキツいパートでしたが、残りあと僅かと思うと頑張れます。ついに最終のウォーターエイドに到着すると、残りはあと林道を走る7㎞を残すのみです。やっとでここまで来れました。

 

さあ、泣いても笑ってもあと7㎞です。最後の補給を手早く済ませエイドを出た私は、「全てを出し切って空っぽになってやるぞ」と奮起し、ラストスパートを仕掛けます。スパートと言っても、当初は「残りは歩かないぞ!」ぐらいのつもりだったんですが、不思議と徐々にペースが上がっていきました。先行するランナーを1人、また1人とパスしていくうちに、どんどんスピードに乗っていきます。自分でも「まだこんなに残ってたんだ!」とこれだけ走れることに驚きます。おそらくキロ5分くらいのペースは刻んでいたかな?背後からは誰も追ってきません。過去の信越完走者のコメント読むと誰しもが、このラストの林道がキツく、絶対に7㎞以上あるだろうと話してますが、私にとってこの林道はまさしくビクトリーロードになってました。高揚感、無敵感に包まれ、人生でもそうはない幸せな時間でした。

 

この林道だけで約50人はパスしたでしょうか?自分でもそろそろ着く頃かな?と感じ始めた時、スタッフの方から「おかえり!あと1㎞切ったよ」と声を掛けられます。「あぁ、ようやくここまで来れた。本当に終わるんだね…」と込み上げてくるものがありました。

 

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暗闇の先に現れた光る輝くフィニッシュゲート。果てなく思えた旅がようやくフィナーレを迎えます。ラストまで全力で!とゲレンデを駆け下りて来た私でしたが、ゴールテープ手前で減速し、160㎞を共に進んできたゼッケンホルダーを外し、これを両手で高々と掲げてテープを切りました。ついに100マイラーになれた瞬間でした!

 

ゴールの瞬間は案外冷静に迎えることができたつもりでしたが、フィニッシュ後、出迎えてくれた彼女の顔を見たら一気に感情が溢れ、込み上げる涙を抑えきれませんでした。これは長年憧れ続けた自らの夢を叶えた喜びの涙でもあったでしょうし、夢の実現をサポートしてくれた彼女への感謝でもありました。今にして思えば、恥ずかしい所見られたなぁ…。

 

所要時間は実に31時間9分。制限時間が32時間なのでギリギリといえばギリギリですが、100マイルの完走者の多くがこのあたりのフィニッシュタイムに集中していたようで、私のゴール後も続々とランナーが飛び込んできました。

100マイルの完走率は57%とのこと。このコースは走らされるパートが多いので、やはり走れる箇所は走らないと時間がなくなります。全て歩いていたらおそらくアウトでしょうね。

 

何はともあれ無事ゴールできて、念願の100マイラーになれました。次回はゴール後のことや、今回使用した装備品の検証についてです。

憧れ続けた100マイラーの夢を叶えた信越五岳2018⑤(笹ヶ峰〜戸隠)

笹ヶ峰エイドで補給を終え、夜間走に備えライトの準備をしてエイドを出た私ですが、ここでとあるミスを犯します。それはボトルへ水を補給し忘れた事です。もちろんエイドでは飲み物、食べ物をしっかり食べたんですが(このあたりでは胃腸トラブルはほぼ解消)、次のエイドまで水を持って行かないというのは自殺行為にも等しい行為です。いくら夜になり涼しいからと言って、2〜3時間のトレイル走を水無しで進むのはかなりリスキーです。やっぱり疲れで注意力が欠けてきてたんでしょうね。

 

しかし水は全く無かったわけではなく、黒姫→笹ヶ峰間はではさほど消費してなかったので、2つ持ってたボトルにそれぞれ4分の1は残ってる感じでした。それでもそんなに多くはありません。

「ヤバイな…本当にキツくなったらどうしよう?」と不安を感じつつも、なるべく汗をかかずにスローペースで進めば持つかな?と甘い考えも…。最悪、沢の水でも汲もうと開き直った頃でした。なんと前方に山肌から水が湧き出る水場があります。なんてラッキーなんでしょう、これこそ天の助け!まだ日没寸前だったの見つけることができましたが、暗くなってたら見逃してたかもしれません。すぐさま2本のボトルに補給して先を行きます。さりげなく通過しましたが、本当にホッとしました。

 

間も無く日も落ち、辺りはすっかり闇に包まれました。こうなってくると心配なのが眠気です。よく「1日目の夜は耐えれても2日目の夜がキツい」といった経験者のコメントを聞きます。自分はどこまで持ちこたえられるかな?と不安もありつつ、経験したことのない極限状態を楽しんでいる感覚もありました。とりあえずこの段階では眠気は全くなく、かなり集中して前進できていました。

 

西登山道入口はウォーターエイドで水のみの補給です。ここから次の大橋林道エイドまではわずか5㎞なので、「ここの区間ラクできそうかな?」と多少油断してたらこれが大間違い!1㎞の登りは雨水が流れ水浸し…さほどの降雨ではなかったけどこの山、水捌けが良くないのかな?疲れは感じてないけど足元が悪く、さっぱりスピードが上がりません。シューズも靴下もずぶ濡れでテンションも下がります。

そして登りきったあとは4㎞の下りですが、こちらも水溜りだらけ…。最初は気にしてた足元も、ここまでくると開き直り、バシャバシャと突き進みます。しかしやはりこんな道ではスピードは出ないので、この下りがなかなか終わりません。「絶対もう4㎞進んだと思うんだけど…」と何度呟いたでしょうか?特にラスト1㎞な林道は眠気との戦いになりました。単純な下りは集中力も途切れ、心肺が下がり一気に睡魔が襲ってきます。本当は飛ばせる林道の下りで、私は随分抜かれたかな…。

 

下りきったところで大橋林道エイドに到着です。突然襲ってきた睡魔に従い、到着時はここで仮眠でもしようかと思いましたが、補給やスタッフの方々と会話してたら、だんだん眠気も覚めてきました。ボランティアの方の励ましを受け、次の戸隠エイドに向かいます。

 

ここから戸隠までは結構走れた区間でした。戸隠は独特の雰囲気のある山域なので、明るかったら走ってても楽しかったと思いますが、残念ながらこの時間は真っ暗闇。「今度は明るい時間帯に走りたいな」と思いつつも、それだともっと速く走るか、110㎞の部で出るか、プライベートで来るしかなさそうです。ちょうどボリュームゾーンだったのか前後にランナーも多くいたため、あまりルート選択にも気を使わず行けた感じでした。

 

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夜10時半頃、戸隠エイドに到着です。標高が高くボランティアや応援の人たちはかなり寒そうですが、私にはちょうどくらいの気温でした。約20分の滞在で彼女が用意してくれたコーンリゾットとエイドの戸隠蕎麦を堪能します。ここにきて食欲は旺盛。眠気がやって来たのもあの時だけで、体調も悪くないです。いよいよ時間内の完走が見えてきました。ここを出れば、あとは栄光のゴールを目指すだけです。