まっちゃんの桜の木陰日記

自然豊かな富山を舞台にランニング、サイクリング、そしてカイロプラクティックを施すミドルエイジアスリートの日記

立山登山マラニックの記録証とDVDが届いた。

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8月に参加した「第20回立山登山マラニック」の記録証やDVD、記念品の木製フォトスタンドが届きました。フォトスタンドは記念大会だから今回のみ特別でしょうね。

 

DVDは9月にテレビ(BBT)でも放送された内容と同じですが、自分も映ってることもあって何度も見返してしまいました。やっぱり何度見ても感動ですね。改めて山頂ゴールの貴重さを思い知りました。実力や運など、たくさんの要素が合わさらないと達成しない、本当に特別なレースだと思います。正直なところ、今回の山頂ゴール達成で来年以降はもういいかなと思ってもいたんですが、あんな番組見せられると、また走りたくなってしまいました。おそらく来年の春くらいに応募だと思うので、また検討したいです。

 

そんでもって、私のおそらく年内最後になる大会の「富山マラソン2017」まであと1週間です。狙うは自己ベスト!と言いたいところですが、それにはロードのスピード練習が足りてない気がしてなりません。最近はトレイルばっか走ってたし…。

土壇場の一週前になり、今日10㎞のタイムトライアルに挑戦してきましたが、タイムは40分30秒ほどでした。タイム的には悪くはないかもしれませんが余裕は全くなし…。本番はある程度のスピード(キロ4分30秒〜40秒くらい?)で進むつもりですが、今日くらいの余裕のなさだと必ずどこかで失速しそうです…。

 

あと1週間は食べ過ぎや睡眠不足に気をつけ、疲れをしっかり取ってレース当日に臨みたいですね。

 

台風が近づいているようですが、来週でなくて良かった〜。

道宗道トレイルで五箇山の歴史に触れた秋の休日(後編)

道宗道トレイルも後半に突入です。

 

縄ヶ池エイドを出て、竜の背中と呼ばれる坂を登り高清水山を目指します。この坂、前の週に試走した時はさほどのキツさを感じなかったんですが、今回は足こそ止まりませんがペースはずっと遅くなりました。もちろん先週とは疲労の度合いが異なりますので、単純に比較できないとは分かっています。少しずつですが、後方のランナーに差を詰められている実感がありました。

 

でも試走していたおかげで、山頂までのルートに見覚えがあるのはかなり助かりました。キツくても、そろそろ登りも終わると分かっていると踏ん張れたりしますからね。後方からのランナーに迫られたところでちょうど高清水山のピークに到着です。

 

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ここがこのコースの最高地点。なのでここから先は下り基調になります。

 

ここからの道は細かなアップダウンが続く尾根道になり、索道峠、杉尾峠、大尾峠、新山峠といった幾つもの峠を越えて行きます。基本走れるコースなんですが、展望があまりなく、似たような景色が続く、精神的にキツいパートです。杉尾峠より先は試走してなかったので、本当に長く感じました。

 

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ただ、トレイルの状態は最高です。この辺りはずっとマイペースの単独走でした。高清水で一人に追い抜かれてからは、前を行くランナーにも、後ろから来るランナーにもなかなか出会いません。

そうそう、このレース唯一の転倒がこの辺りでした。見た目は大丈夫そうと判断した下りで、思いっきり軸足を滑らせ背中から着地…。視界に突然木々の間の青空が映り、次の瞬間背中に衝撃が…。幸い地面が柔らかったので着地のダメージはありませんでしたが、はずみで太腿の外側が攣りました。これはすぐに収まってくれてよかったです。そうそう、あとで気づいたんですが、ロングコースのランナーはほぼ全ての方が泥だらけでしたね。みんな道宗道の泥の洗礼を受けたようです。

 

赤祖父山の手前辺りからは晴れ間も覗き始め、次第に暑さを感じるようになってきました。しかし下り基調なので足も動かし続けることが可能です。大幅なペースアップもありませんが、失速もしないまま赤祖父山、大寺山を越え、覗口峠のエイドに到着しました。29㎞地点になります。

 

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ここでミドルコースのランナーたちと合流し、あとはゴールまで同じルートを走ります。まばらだったコース上が、途端に賑やかになりました。おそらく私が合流したあたりがミドルコースのボリュームゾーンだったのかな?ここから先は絶えず周りにランナーがいる状況でした。

 

八乙女山を越え、足場の悪い下りに気を使いながらもどんどん下って行きます。このあたりにいるミドルコースのランナーだと、私の方がまだ速いみたいですね。並走することはあっても、抜かれることはありませんでした。

残り3㎞地点の閑乗寺公園から見た砺波平野の散居村は本当にいい眺め。スキー場のゲレンデ跡を駆け下りて行くのは気持ちよかった〜。ラストスパートと思ってペースを上げたので、写真撮るの忘れてました。

 

最後は井波の街中に突入。ゴールの瑞泉寺までの参道が文字通り花道になり、沿道の声援に応えます。緩やかに登りなのでそれなりにシンドイんですが、私は結構頑張れたかなと…。笑顔、なおかつ充実した表情でラストまで駆け抜けることができたと思ってます。瑞泉寺の立派な山門をくぐり、境内に入ったところにゴールゲートが見えました。

 

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記録は5時間44分19秒、総合順位は31位でした。年代別の8位は嬉しかったですね。

 

これで一応、5月のTOGA天空、6月の立山山麓、そして今回の道宗道と全てのロングコースを完走し、富山トリプルマスターの称号をゲットです。天候や自らのコンディションも関係するので一概には言えませんが、今回が一番楽しめたかもしれません。TOGAは暑さにやられたし、立山山麓はただただ必死で楽しむ余裕がなかったので…

 

それにしても瑞泉寺は素晴らしいお寺ですね。実は今回初めて訪れましたが、山門や本堂の見事な作りに感心しました。名前を知っているだけで、この大会に出なければひょっとしたら訪れることはなかったかもしれませんので、これまた富山の素晴らしい宝を見つけた思いです。って言うか私が知らなかっただけですけどね。

 

この道宗道は、今から約500年前に「赤尾の道宗」が五箇山から瑞泉寺までを月に一度通い続けた道だそうです。そんな先人の行動力に思いを馳せながら、南砺の自然や人情を感じることができた素晴らしい大会でした。写真は撮れませんでしたが、スタート直後に世界遺産の菅沼合掌集落内を走らせてもらえたのもいい体験でした。

富山の山と言えば、どうしても立山、剱といった北アルプスに目がいきますが、まだまだ魅力的な山がたくさんありますね。

 

さあ、あとはトリプルマスターの盾が送られてくるのを待つのみです。

道宗道トレイルで五箇山の歴史に触れた秋の休日(前編)

体育の日の三連休の日曜、五箇山の行徳寺から井波の瑞泉寺までの古道を走る「道宗道トレイルラン」に出場してきました。私の出たロングコースの部は36㎞。信越五岳の後ということもあり、36㎞ではロングだと思えない感覚になっていますが、制限時間9時間、累積標高差は2,620mとなかなかタフなコースです。今回が4回目の開催になりますが、私自身参加は初!富山の大会はやっぱり出ておかないと…

 

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五箇山のタカンボースキー場で受付&開会式です。ここからスタート地点の行徳寺まで歩いて移動ですが、参加人数が昨年の2倍ということで行列がなかなか前に進みません。午前7時のスタートに間に合わないかと思いましたね…

 

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この山門をくぐってスタートします。スタート前には立山マラニックの実行委員だったKさんとご挨拶。先月の上州武尊を完走した強者の方ですが、今回は「楽しんで走るよー」と話されてました。

 

さて、スタート直後は30番手くらいで走り出したのですが、キロ5分くらいで走っていても、バンバン抜かれていきます。このコースは最初にロードが4㎞以上あるんですが、それにしてもみんな速すぎです。25分ほどのロード区間の間で、おそらく100位以下まで順位を下げたと思います。それでも私はキロ5分くらいをキープです。

 

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登山道に入った途端、いきなりの大渋滞…。みんな最初に飛ばしたのは、渋滞に巻き込まれたくないからですね。でもまだまだ序盤です。最初は抑えたくらいでちょうどと考え、私はそのまま前のランナーについて行きました。

 

実はロングコースの最大の難所はここなんです。最初のピーク、小倉山までの約700mを一気に登らされるんですが、登り始めて20分程すると前方のランナーたちが明らかにペースダウンし始めます。私はまだまだ余裕があったので、さすがに焦れてしまい、頃合いを見てどんどん抜いていくことにしました。みんなロードで飛ばし過ぎだよね。

 

小倉山のピーク手前から、しばらく並走するランナーがいましたが、なんとその方に声をかけられます。

「〇〇さんですよね?」

はい、そうです!と答えましたが、私は面識のない方…どちらでお会いしました?と尋ねると、テレビ放映された立山マラニックで、私のインタビューや映像を見たとのことでした。でもインタビューがオンエアされたのは昨年のはず…観てる人は観てるんですね。この、声をかけてくださったIさんは、今年のオンエアでインタビューされたようです。マラニックやTOGA天空、立山山麓トレイルの話をしながらしばらく並走しました。

 

下りに入ると私が前になり、多少前とも差がではじめたので、ここでペースアップ!夏場に会得した(つもりの?)下り方で、気持ちよくどんどん駆け下りました。

 

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天気は曇り。もっと晴れると思ってましたが、暑くならなくて、かえってよかったかも。

 

12㎞地点のたいらスキー場のウォーターエイドでトイレを借ります。この辺りから単独走になってきました。ここは1時間45分くらいで通過。初参加のため比較対象が難しいですが、悪くないペースのようです。ここから高落場山に向け、また登りです。

 

高落場山への登りでは、一人一人前方のランナーを抜いて行きました。うん、足も動くし心肺もまだいけそうです。後続から詰めてくるランナーもいません。まだまだ順位を上げていけそうです。

 

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先週の試走では快晴でしたが今回はガス…。ちょうどスタートから2時間半でした。

 

高落場山から縄ヶ池までは、ブナの原生林の見事なトレイルを駆け下ります。このコースはここが一番のハイライトですかね。テンションも上がり、気持ちよく走れました。でも、お腹もすいてきたんですよね。

 

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縄ヶ池エイドです。スタートから2時間50分、ようやく食べ物にありつけます。今回自前の補給食はジェルとスポーツ羊羹だけだったので、しっかりとした食べ物が食べたくなっていました。

でも本音を言えば、おにぎりなどのお米が食べたかったかなと…。パンやバナナ、汁物やフルーツなどはありましたが、この時の私のお腹はお米を欲しがってましたね。少し残念と思いながらもパンなどを頬張ります。

ここのエイドの直前で女子の3位の方をパスしました。ならば私は男子のどのくらい?と思いながらも、相手は他のランナーじゃなくて自分だと言い聞かせます。エイドを出て次なる山、高清水山へと向かいました。

 

 

レースもブログも後半へと続きます。

100マイルじゃなくても最高だった信越五岳2017 ⑥閉会式

夜通し17時間も走り、一晩丸々徹夜したにもかかわらず、レース後の睡眠時間はごくごく普通でした。夜9時くらいに布団に入り、翌朝は5時くらいには目が覚めました。10時間以上は寝ちゃうんじゃないかと思ってましたが、そうでもなかったですね。深夜は台風の風が強く吹いていたようです。

 

さて、赤倉地区のスターホテルに泊まった私はチェックアウト後も車を駐車場に停めさせてもらい、閉会式の会場までは歩いて向かいました。会場に行ってみて分かったんですが、駐車場がかなり広かったので、車でここまで来ても良かったですね…。

 

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会場では、カレーやサンドイッチ、パンや唐揚げなどが食べ放題。そしてコーラやお茶、ジュースといった飲み物も飲み放題です。でもカレーなどの人気の品は開場と同時に行列ができ、なかなかありつけません。今回は例年よりも閉会式の参加人数が多かったみたいです。台風接近で、皆さん足止めされたから?カレーは諦め、サンドイッチやパンでお腹を満たしました。

 

ここで嬉しい再会がありました。なんと昨年の立山マラニックでAさん共々同じ部屋になったFさんと偶然にも再会です。Fさんとはマラニックの後、距離短縮となった昨年9月のUTMFと、石川で開催された11月の峨山道トレイルでも一緒になりました。いやーお互い信越出てたんですね。Fさんは今回は110㎞だったようです。聞くと10月に長野県小海の100マイルに挑戦だとか!そちらが今年の勝負レースなので、信越はダメージ残さないようにしたようです。相変わらず、全国大会ともなると変人たちが集まりますね。

 

11時からは表彰式も始まりました。52㎞、102㎞の男女10位までが壇上に登り、表彰やインタビューがありました。印象的だったのが、102㎞の女子トップの方が脚を引きずりながら壇上に登った姿です。トップを取る方なので、当然日々のトレーニングにしても相当なはず。そんな方がフラフラになるんだから、おそらく自分の全てを出し切ったんでしょうね。それに比べ自分はさほどのダメージも残さず、ホテルから会場までもブラブラと歩いて来る始末…。こんなところからすでに違うんだなと思い知らされましたね。楽しく走るのはそれはそれで大事なことですが、やはりレースというからには自分の全てを出し切る姿勢は絶対に必要です。自分を奮い立たせることも、今後は示していこうと思いましたね。

 

閉会式の最後に、大会プロデューサーの石川さんからサプライズ発表がありました。なんと今回のレース、100マイル完走したランナーにはステージ上で一人一人に完走記念のバックルを贈る予定だったとか。「やっぱり100マイルは特別なんです。110㎞とは違うんですよ!」の言葉を聞いた時、100マイルへの憧れはさらに強くなりました。残念ながら距離短縮になった今回、バックルのプレゼントは来年に持ち越しみたいです。欲しかったのは間違いないですが、100マイル完走してもらわなければ価値はありませんからね。

 

それにしても石川さん、ペーサー制度といい、バックルのプレゼントといい、アメリカのウエスタンステイツ100マイルを完全に模してますよね。自身が初めて体験した100マイルだったそうで、そのスピリットを日本で再現したいという心意気が本当によく伝わってきました。来年以降も間違いなく人気の大会になりますが、できることなら人生初の100マイルはこのレースで達成させたいですね。そのくらい、私も信越の雰囲気やスピリットに賛同しましたよ。ランナーとして出れなくても、ボランティアスタッフとしてこの大会に関わりたいと思いました。

 

これにて、2017年の信越五岳の全行程が完了。同じく距離短縮になった昨年のUTMFでは、なんだかモヤモヤとした感覚が抜けきらなかったのですが、今回の信越五岳は本当に爽やかな気持ちで終わることができました。今年の勝負レースと位置付けていただけに、距離短縮は望んだ結果ではなかったですが、それでも充分な達成感を得ることができた最高の大会でした。

 

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参加賞Tシャツと彼女の手作りの完走メダル。一生の宝です!

100マイルじゃなくても最高だった信越五岳2017 ⑤赤倉〜黒姫

赤倉エイド到着時には、スタートからすでに14時間以上が経過していました。この時点で自己最長の走行時間を更新です。

赤倉エイドには私の彼女が応援に駆けつけてくれていました。車の運転が得意ではない彼女は、富山から新幹線や在来線、バスを乗り継いでここまで来てくれていたんです。その姿を見た時、私はようやくここまで来れた安堵感で一気に体の力が抜けていきました。おそらく1人ならば気を張ったままだったと思いますが、安心したんでしょうね。涙こそ出ませんでしたが、かなりの感動でした。

ここではエイド食はもちろん、差し入れてくれたゼリーやおにぎり、そして胃腸薬をもらい、しっかりと回復させました。少し休みすぎた気もしましたが、今になって思えばこの判断は正解だったようです。

 

赤倉から黒姫までは15㎞ほど。コース図を見ても大きなヤマ場はなさそうなので、とりあえずゴールはできそうかなとこの時点で確信しました。そしてここにきて私のハートと体調は絶好調!後続のランナーにパスされることはほとんどなく、前を行くランナーを1人2人と交わしていきました。自分でも、なぜこんなに走れるんだろ?と不思議でなりませんでしたが、しっかりエイドで回復できたことと、夏場のトレーニングの成果だったのかもしれません。気持ちよく、ゴールへと進んでいきました。

 

そして、ゴールの7キロ手前からは110㎞に出場のランナーたち(今回は52㎞に短縮)と合流。一気に賑やかになって同じゴールを目指します。歩いている110㎞の選手の横を、走って抜いていくと、「あっ、100マイルの人だ。スゴい…」と声を掛けられ思わず有頂天に!自分に自信が持てるとは、まさにこのことかと実感しました。

 

しかし、ラスト3㎞あたりからは、110㎞の選手たちが一斉にスパートを掛け始めました。周辺にいた同じ100マイルの方と私は、そのスパートについて行けず取り残されます。その方と、「ウチらとは条件違うからね〜」と苦笑いしながらも、「そうは言っても悔しいなぁ〜」とお互いを慰め合い⁈。結局はこの方と一緒にゴールまで並走することになりました。

さあ、いよいよゴールです。メールで彼女が、黒姫に先回りして待っていてくれていることを教えてくれました。本当にありがたい!

今回は、当初目標にしてた100マイル先のゴールテープではなかったけれど、本当に充実感溢れる瞬間でした。実にスタートから17時間7分掛けて、黒姫のゴールに到着です。長かったようなあっという間だったような、夢を見てるような時間でした。

 

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一緒に旅をした142番のゼッケンは一生の宝物です。

 

 

ゴール後、黒姫エイドでもたらふく食べてしまいました。エイド食はもちろん、彼女が用意してくれていたレトルトカレーもたいらげ、大満足。シャトルバスで斑尾エリアまで戻り、温泉に浸かり、戦いの汗と疲れを洗い流しました。

 

その後、彼女を新幹線の駅まで送り、私はこの日は赤倉温泉の宿で後泊です。

 

閉会式と、このレースのまとめは次回に…

100マイルじゃなくても最高だった信越五岳2017 ④アパリゾート〜赤倉

アパリゾートを出ると、細かなアップダウンを繰り返しながら、徐々に下っている感覚はありました。「早く明るくなってほしいなー」と思いつつも、9月の中旬にもなると朝5時を過ぎないと明るくなってきません。しかしちょうどトレイルを抜け、田園風景が広がるロードに出たあたりから夜が明け始めてきました。

 

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このまま明るくならないんじゃないかとさえ思われた、長い夜がようやく終わろうとしています。昨晩7時半のスタートから約10時間、こんなにも長い夜間走は初めての経験でした。刻一刻と明るくなっていく風景に溶け込みながら走るのは、なんだか不思議な感覚でした。

 

道はしばらくロードが続きます。田園風景を過ぎると、川沿いの林道をひたすら進むコースに出ました。個人的にはここも結構キツいパートでしたね。アパリゾートエイドで取ったエネルギーが底をつき始め、どうにも足が動きません。明るくなってきたら眠気はすっかり抜けてきたので、意識はハッキリ!それだけに思うように進めないことが、もどかしくて仕方ありませんでした。

 

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青年自然の家に向かうロード区間です。この辺りまでで、結構な数のランナーたちに抜かれてしまいました。走る、歩くを繰り返すのですが、どうしても歩く区間が長くなってきます。

 

さらにショックだったのが、自分のGPS時計では、自然の家エイドまではあと1キロくらいと思っていた地点で、スタッフの方に「あと5㎞くらいかな」と言われた事です。つまりあと30分以上は確実に掛かります。このままではハンガーノックも起こりうると思われたので、食欲減退気味でしたが、バックから「山よりだんご」を取り出し、3、4切れをゆっくりと食べました。

するとどうでしょう!途端にまた足が動き出しました。炭水化物おそるべし…エネルギーに転換されるの早過ぎます。これでまた生き返りました。

 

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だらだらと登って行った先にやっとで到着した妙高青年自然の家。地図表示では71㎞地点とありましたが、私のGPS時計では75㎞でした。ここでも結構な時間を休みましたね。25分は滞在したんじゃないでしょうか?それくらい疲れを感じていましたし、でもしっかり補給を摂りました。

 

自然の家を出ると、藤巻山という山に向かいます。この山、信越五岳にはカウントもされない1,000mにも満たない山でしたが、なかなかに手強かったです。エイドでしっかり補給をした私は、足も動くようになりさほどのキツさを感じませんでしたが、他のランナーたちは明らかにウンザリしている様子。この区間でそこそこ順位を上げさせてもらいました。私もこの辺りで、しっかり食べれてさえいれば、ゴールまでなんとかなるのかなと思えてきました。

 

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多くのランナーが苦しめられた藤巻山。

 

青年自然の家の補給が上手くいった私は、しっかりと動き続けれました。藤巻山のあとのロード区間でもペースは一定をキープできて、いよいよ赤倉エイド手前の標高差400mの登りに差し掛かります。この登りの途中で、このレース初めての雨に見舞われました。まあ、でもここまでよく天気は持ってくれましたね。台風が接近してるのは分かりきっていた事なので、ようやく降ってきたか!くらいにしか感じていませんでした。しかし、その雨もすぐに上がります。草木を濡らす程度で、トレイルはほとんど乾いたままでした。

 

ゲレンデらしきところを延々と登るのは、さすがにキツかったですが、それでも結構頑張れているなと自分でも感じていました。それでもスタッフの方が最高地点を教えてくれた時は、ホッとしましたけどね。でも私にとってはここからの下りがヤバかった…。下りきったところが赤倉エイドと教えてもらい、実際目でも確認できるんですが、下れども中々近づいてきません。そのうちに腿の筋肉が悲鳴をあげてきました。

 

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そのゲレンデの下り途中でギャラリーの方に撮っていただきました。10時間前に真っ暗闇のピークを踏んだ斑尾山野尻湖がバックです。

 

 

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しんどいとは言っても下りなので、全く足が止まるということはありません。自分の下りのスキルの無さにウンザリしながらも、赤倉エイドに到着です。エイドに到着した瞬間、なんだか全身のチカラが抜けていきました。

 

 

続きます。

100マイルじゃなくても最高だった信越五岳2017 ③赤池〜アパリゾート

赤池エイドを出ると、まずは袴岳へと登っていきます。この赤池から、次のアパリゾートのエイドまでは19㎞。袴岳への登りとその後の下り、さらに関川沿いに下りきってからは、今回100マイル用に切り開かれた新たなトレイルを巡るとあって、かなりの苦戦が予想されました。自分の大体の感覚として、おそらく3時間はかかるんじゃないかと…。

 

袴岳の登りは急ではありませんが、だらだらと登らせられます。エイド出た直後なのでまだまだ元気ですが、この辺りからトレイルの脇でうずくまるランナーたちを見かけるようになりました。おそらく眠気に襲われ始めたのでしょう。深夜1時ごろなので、そうなるのも仕方ないですね。私もカフェイン入りのジェルを取り、この時にはまだ訪れていない眠気を封じ込めました。

 

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赤池を出て約50分で袴岳に到着です。スタッフの方がいたからそれと気付きましたが、そうでなければ真っ暗なので分からなかったかもしれません。山頂はなだらかな山でしたね。そしてここからゆっくりと下り始めます。

 

袴岳からの下りは林道やトレイルを長々と下りていきますが、ここで脚を使ってはいけないと思い、抑えて下っていくと後続のランナー達にどんどん抜かれていきます。さすがはトレランのメジャー大会!その中でも100マイルにチャレンジする人達は、この程度の下りはどんどん下りていきますね。抜かれてしまうと、どのランナーもあっという間に見えなくなりました。

 

まだ先は長いのでマイペースで…そう思いながらだらだら林道を下っていると、次第に眠気が襲ってきました。下りは心肺を使わないことに加え、長時間の夜間走で集中力も切れかかります。深夜2時を過ぎ、恐れていたことが現実になろうとしていました。

実は私、おんたけなどで深夜走の経験はありますが、その時も含め、これまでレースで眠気を感じたことはありませんでした。そのため、眠くなった時の対処方法を知らないまま、この脅威と向き合わなければなりません。

 

「ついに自分にもこの症状が出てきたか…」

 

想定はしていましたが、やはりキツい!手足に力が入らず、頭がボーっとします。うずくまるまではしませんでしたが、カフェイン摂っても解消される気配がありません。どこまで降らせられんだろうとおぼろげに思いながら、ようやく下りきりました。

下りが終わると今度は新コースを使った登りになります。いきなり100段以上はあろうかという石段が現れました。そういえばこんなコースだって言ってたかも…

「マジかよーこれを登るんか⁈」と絶望的な気持ちになりかけたとき、ここを登りだして数分すると意外に足が動くことに気づきました。そして登っているうちに心肺も活発になりだすと、眠気が次第に解消されていきます。強制的に体を動かしたからなのか、カフェインが効いてきたのかはわかりませんが、とにかく眠気は吹き飛びつつありました。途端に復活して、早速巻き返すと言った具合ではありませんでしたが、最悪の事態は抜けたようです。

 

とはいえ、100マイル用に新設されたコースは行けども行けども、景色が全く変わりません。真っ暗というのもありますが、鬱蒼とした森の中をただひたすら登っています。足が止まることはなかったのですが、持ってた水も少なくなり、果たしていつまで続くんだろうかと気持ちが弱気になりかけたその時、ゲレンデらしき広々としたところに出ると、視界の下の方に街の灯りが見えました。スタッフの方が「ここを2.3㎞下るとエイドですよ」と伝えてくれます。

「やれやれ、なんとかたどり着けそうだ!」と一瞬安堵し、慎重にゲレンデを降りていくと、ついにアパリゾートのエイドが見えてきました。ここの灯りを見つけた時は、まるで砂漠を彷徨う旅人がオアシスを見つけたような心境でしたね。赤池から本当に3時間以上かかり、やっとの思いでエイドに到着です。

 

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ここのエイドでは約20分ほど滞在しました。トイレを済ませ、食べやすい補給食をしっかりといただきます。スタッフの方に聞くと、「ここの区間が一番キツいみたいです。」とのこと。やっぱりそうなのかと改めて思い出すとともに、空を見上げると星空が瞬いていました。「台風、どうなんですかね?」と聞いてみると、「なんかあんまり影響ないみたいですよ。」と笑顔で答えてくれました。暗い夜道を1人で進んでいると孤独だし、ここから並走してくれるペーサーも私にはいないので、人と話すことですごく前向きな気持ちにさせてもらえます。スタート前に一緒だったAさんともここで少し話ができました。

 

 さて、あまりに居心地がいいので長居しそうになりますが、30分近く休むと今度は再出発が本当にキツくなります。午前4時ごろ、次なる目的地に向け走り出しました。

 

次のエイド、青年自然の家までは約15㎞。下り基調なので2〜2.5時間くらいと想定してのスタートです。

 

 

 

次へ続きます。